歯科医院のデジタル化で変わった事について考える。

学生時代から、今までの歯科治療において考えてみれば随分と内容も変わってきています。

今回は自分が経験してきた中での歯科医院のデジタル化に伴って変わって来たことについてお話ししたいと思います。

目次

①レントゲンのデジタル化

私がまだ学生時代の頃はレントゲン撮影はアナログの医院が多かったです。

フィルムをレントゲン撮影の機械にセットして照射を行い、その後現像液につけて画像が出てくるのを待ちます。口の中に入るような小さなフィルムですと、しっかりと現像されればなかなか綺麗に現像され、細かい部分の確認はデジタルフィルムよりも行いやすい。なんて言われていました。

そんな中でも現像液がうまく反応しないと画像が荒れてしまったり、一部うまく映らなかったり、現像液が溢れてユニフォームが汚れてしまったりなどのトラブルも良くありました。


大きなパノラマフィルムになると現像機にいれるまでもたもたしていると感光してきまい綺麗に現像が出来ない事もあったり、フィルムのセッティングが逆になってしまうとうまく現像出来なかったりと…当日歯科助手のアルバイトをしていたのですがよく怒られてたなぁというのを思い出しました笑

いつの間にかデジタルが主流に

実際に今自分で歯科医院を開業してみて、レントゲンは全てデジタルですし、他の医院もほとんどがデジタルのレントゲンに変わっているかと思います。


デジタルの良い所はデータのやり取りが出来るので、インプラントや矯正を行う際にデータでレントゲンの画像を送信し、そのまま反映してくれます。


データなので、細かい色調や濃度の調整も出来るので、見たい部位にのみフォーカスして見れるようになりました。かなり拡大して見れるようにもなったので、今ではアナログのフィルムよりも使いやすいかなと思っています。


この辺りは、一般的なデジタルカメラの普及と同じようなイメージかもしれません。

治療において気になる部位を事前にScreenshotを撮り、後ほど患者さんと共有する事も出来ますしカルテに保存をしておいてすぐに見返せるようにしておく事も出来ます。いやあ…便利になりました。

②型取りのデジタル化

私が学生の頃はアルジネート印象(普段使いしやすいピンク色の型取り材料)や寒天印象(窩洞部に流し込みより部分的により綺麗に取るために使用)、もしくは保険適応外でのシリコーン印象(精度はかなり良いが硬化してから外すのが大変。材料費も高いため普段遣いには向いていない)

などの型取り材を用いていかにスムーズに型を取れるか。が技術の一つになっていました。
が、ここ最近はデジタル化が進み型取りを口腔内スキャナーで行う事も増えてきています。

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自動でおおよその色味の再現もしてくれるので便利

スキャナーの精度や速度も確実に進歩しており、現在では気軽にデータを取得しようと思えるほど身近になって来ました。

口腔内全体のデータを撮影しておけば患者さんが帰られた後にデータの整理を行う時間も取れますし、データ上で分析を行うことも出来ます。

口の中は見えないので、先生が何を行なったのか説明させてもよく分からない…という時代は終わりつつあります。

デジタル上で患者さんとデータを共有しつつ、行なった処置も写真を撮影し、説明を行ってくれる。そんな歯科医院が増えつつあります。


少なくても私自身はそのように治療を行えるように普段から意識をしています。

画像

 型取りをスキャナーで行うとここまではっきり見える。

実際に銀歯を外してみた際に内側に虫歯があり、綺麗に取り除いてから材料で補強しスキャナーで型取りをした所ですが、ここまではっきりと見えるので説明のツールとしてもとても有用であると思います。

治療内容を説明し、次回この部位に部分的な被せ物を合わせていく流れです。

説明していてあれですが、正直見えすぎてしまうという一面も…これだけはっきりと見えてしまうと、逆に質問が好きな方だと話がそれてしまう事も…笑

自分の行なった処置を本人に見せて説明をするので、かなり意識もします。
これを日々するかしないかでは自分自身の中でも覚悟が必要となってきますが、患者さんからすると分かりやすいと思いますし、どのような治療が行われたかの確認も出来ます。


患者さんと共有することによって日々治療を振り返る事も出来るので自分の技術の向上にも役立っていると思っています。
やっぱり喜んで貰えるのが一番ですね。

技工所に即時発送

歯型取りをスキャンで行うと、その場ですぐにデータを技工所さんの方に送る事が出来ます。しかもデータ上である程度参考になる色つき、噛み合わせも自動で調整をしてあるものが送られます。そこから被せ物の製作が始まりますので、スムーズに連携を行えば被せ物が出来上がるまでの時間も短くしていく事も出来ます。

従来のやり方ですと

  1. 歯型をアルジネートで取る
  2. 院内で型に石膏を流す
  3. 硬化してから外して形を整える
  4. 技工所に郵送するために箱に梱包する
  5. こちらから郵送するか、技工所の担当者さんが来る日まで待つ

これだけ手間がかかっていました。それが今ではその場ですぐに行えるようになったので本当に便利で助かっています。

実は作る材料によっては技工所側でも届いた歯型、もしくは石膏を機械に読み込ませてデジタルデータに置き換えて設計をしている。という事もありますので、最初からデータで送ってある方が、技工所側も手間が少なくて済む。という一面もあります。

現状では保険診療の一部でしかデジタルの型取りが適応出来ません。今後はより多くの工程がデジタルで出来るように願っています。

③カルテと予約機能のデジタル化

電子カルテについて

個人的に一番の変化を感じるのがカルテと予約機能がデジタル化した事です。まずは電子カルテについて。

院内のカルテが紙から電子カルテに変わって来ている医院が増えて来ています。私の医院は新規の開業の時点で最初から電子カルテを導入していますので、管理が楽ですが、途中から変更する場合は移行するのがなかなかに大変ではあります…。


カルテが電子化してあると、患者さんとの何気ない会話の内容や行なった治療内容などを素早く打ち込む事が出来るため、とても便利ですし、以前行なった内容などもデータ上ですぐに確認をする事が出来るが助かります。


また、全てを紙で保管しているとカルテの保管場所も必要となってきますが、電子カルテの場合は色々な端末から情報を確認する事が出来ますし、何より保管する場所が少なくて済むのがまた良いです。

カルテを全て手書きで行うと、まず受付の時点でカルテの表紙や中身を手書きで用意をしないといけません。保険証は社保なのか、国保なのか、自費治療のみなのか。で分かりやすい用にカルテの色を最初から分けているので、その確認を行なう必要があり、色や名前の間違いなどがよくありました。


また、毎朝本日の患者さんのカルテを全て棚から出して用意をしておく必要があります。一人だけカルテが見つからない…なんて事もよくあり探すのも大変でした。

Dr.が診療をした後でカルテに記入する内容が多岐に渡るので少しでも簡略に出来るようにとカルテ用に様々な言葉のハンコが用意されていて、内容に合わせて押していました。


複数人ドクターがいると使いたいハンコ待ち。のような時間があったくらいです笑
点数を暗記して記載、分からない部分は点数を調べて記載。


合計点数を電卓で計算して…記載。


これを受付に提出し、受付にて再度点数のチェック。間違いがあれば訂正確認を…という流れを一人ひとりに行なっていました。

これが電子カルテになっているとカルテは電子上(パソコンやタブレット)にありますので検索をするとすぐに出てきますし、アポイントの予約の画面からすぐに患者さんの内容を確認する事が出来るので、大幅に時間を短縮出来ます。


もちろん全ての内容を電子化出来ているわけではない事も多く、必要な書類は別途探す必要がある事もあるのですが、それでも以前に比べると楽になりました。

病名に合わせて必要であろう点数項目が出てくるので選び、必要な内容を記載する。点数は自動で計算してくれて、簡単なエラーチェック機能つき。

という形になりますので、問題なければすぐにお会計の流れに進む事が出来ます。


患者さん側からは違いが分かりにくいかもしれませんが、院内側での労力はかなり減らせますので、スタッフが余計な部分で気を揉む必要がなくなってきます。

予約管理のデジタル化

歯科医院の予約管理もデジタルで行なっている医院が増えて来たのではないでしょうか?カルテが電子の場合は大体がアポイント帳もデジタルになっているはずです。

デジタルのアポイント帳の良い所は患者さんが電話をしなくても予約の新規登録を行えたり、変更をする事が出来る点です。

※歯科医院によって運用方法が異なります。新規予約のみウェブに対応していたり、予約の変更には電話やメールでの対応が必須な場合もありますので確認をお願いいたします。

私の医院で取り入れているアポイントシステムでは、患者さんの予約からキャンセルまでを全てWeb上で行えるようになっています。

また、専用のアプリケーションに登録をして頂けると、予約の事前通知や、キャンセル対応、治療データの共有などにも対応しておりとても便利なものになっています。(その代わり、初期の登録がかなり面倒な感じになっていて、私もそこが少し困っています…)

やはり患者さんが自由にいつでも予約の調整が出来るというのは医院にとっては良い部分が多いのではないかなと思っています。

電話にて予約の調整を行いたい人が複数人いた場合、院内の電話が鳴り続いてしまい、治療に支障が出る場合があるからです。

なり続いている電話が取れない。というのは院内で治療を受けている患者さんも気になってしまいますし、不安に思わせてしまう可能性もあります。

患者さんであっても人間ですから、突然のやむを得ない事情が出来て予定していた時間に来院出来なくなった。変更したい。でも電話がなかなか繋がらない…

こういう事態になりかねません。もちろん電話で直接お話ししながら予約の調整を行うのは確実なのですが、他にも予約の調整方法が何かしらある方がお互いにとってのリスク管理になります。

そういう意味でも予約管理のデジタル化は良い面もあるかなと思っています。

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④お会計のデジタル化

最近ではどこでもお会計のキャッシュレス化が進んでいます。もちろん歯科業界でも進むべきなのですが、この点に関してはかなり遅れているのではないかと思っています。

というのも、カルテとの連携が取れるかどうか。システムを導入できるスペースがあるか、運用費をどうするか。など考える事も多く、なかなか導入に踏み込めない医院の方が多いと思うからです。

元々医療業界は現金での支払いをするイメージが強く、変わり難い面もあり、現状ではキャッシュレスの会計を取り入れ始めた医院が増えてきた。という段階なのかなと思っています。

歯科医院でよくあるトラブルはお会計を行うスタッフがバラバラな場合があり、最後の閉め作業でお金が合わない。という状況がよくあります(よく合ってはならないのですが…)

特に保険診療が3割負担と高齢の方が1割負担、自費診療は10割負担となるのでお会計の計算作業が難しくなる事もあり、その中で物販の購入や返金などが入ってしまうと何故か計算が合わない、という事が起こるケースが多いです。

どのお会計が間違っているのか、一人ひとり確認をする作業が入り、終わらないと気持ちよく帰れない…という事も今まで何回か経験した事もあります。 

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セミセルフ精算機。患者さんにお会計の種類を選んで頂いてます。

こういう細かな部分でトラブルが続くと、スタッフが嫌な気持ちになったり、お金の計算をする事が嫌になる方も出てきてしまいます。

それが、精算機やキャッシュレス決済の導入でそういったストレスから大幅に解消されますのこれも便利になったなぁと思う部分です。

閉め作業がボタン一つで進みますし、計算間違えが基本的にないので、お金の管理も安心しやすいです。

患者さんとしても支払い方法を選択出来るようになりますのでこの点は医院選びや通うメリットになるのかなぁと感じています。

まとめ

歯科医師として10年以上この業界を見て来ましたが、年々デジタル化が進んでいると思います。私自身が取り入れられていないデジタル機器も多く、歯科業界の最先端を進んでいこうとすると、かなりの投資が必要になってきます。

通って頂いている患者さんにより良い歯科医療を提供出来るように、歯科医師側も学ぶ姿勢を取り続け、新しい事にチャレンジし続けていく努力が必要だと思っています。

デジタル化がより進んだ先に、歯科医師としての働き方が変わってくる可能性もあるのかな。と思うとワクワクしてきますね。私自身、まだまだ学び続けたいと思います。

読んで頂きありがとうございました。

それではまた次回。

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