Hasの棋譜巡り。
毎回気になった棋譜を自分の勉強の為にまとめています。
今回は渡辺名人と斉藤八段の一局。
4月から名人戦で戦う二人の前哨戦といった感じになっていますかね。
名人戦がどうなるかも気になる所ですが、二人もその辺りは意識をして指しているでしょうね。
さて、気になる一局をまとめていきます。
斎藤慎太郎 八段 vs. 渡辺 明 名人 第92期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント 棋譜
開始日時:2021/03/10 10:00:00
終了日時:2021/03/10 19:06:00
棋戦:棋聖戦
場所:東京・将棋会館
持ち時間:4時間
消費時間:88▲238△213
手合割:平手
先手:斎藤慎太郎 八段
後手:渡辺 明 名人
戦型:角換わりその他
▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩 ▲8八銀 △3二金 ▲3八銀 △6二銀
▲2五歩 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀 ▲1六歩 △3三銀 ▲1五歩 △7四歩 ▲7八金 △7三銀
▲4六歩 △4二玉 ▲4七銀 △5二金 ▲5六銀 △3一玉 ▲6六歩 △8四銀 ▲4五歩 △7五歩
▲4六角 △6四角 ▲同 角 △同 歩 ▲4六角 △6三金 ▲6五歩 △7三銀 ▲6四歩 △同 金
▲6八飛 △6五歩 ▲同 銀 △同 金 ▲同 飛 △8三角 ▲6八飛 △4七角成 ▲6一飛成 △2二玉
▲1三角成 △同 香 ▲1四歩 △同 香 ▲同 香 △4二銀 ▲4八金 △8三角 ▲1二金 △3三玉
▲6七龍 △2九馬 ▲2一金 △5五桂 ▲6六龍 △3九馬 ▲5八金 △4七桂成 ▲6五歩 △3八馬
▲1三香成 △6二飛 ▲6七金右 △7四銀 ▲2六桂 △5一銀 ▲6八玉 △6五銀 ▲3六龍 △3五銀
▲同 龍 △同 歩 ▲3四香 △4二玉 ▲6六歩 △4九飛 ▲3二香成 △同 玉 ▲投了
まで88手で後手の勝ち
角換わりとなったこの一局。
後手の渡辺名人は斉藤八段の1筋の歩の突き越しを見て、先日行われた棋王戦の第二局と同様に早繰り銀模様を選択しました。
こうやって同じような序盤を見比べると楽しいですね♪

棋王戦第二局では、糸谷八段の斬新の序盤で、歩の突き越しによる右辺の伸びの良さを主張していた将棋でしたが、そこを逆用されて先手が不利になった一局でした。
もちろんその展開は二人共頭にあると思うので、この局は、先手は桂馬を急いで跳ねずバランスを取るように工夫しています。
しっかりと腰掛け銀にし、安定感も出していますが、その分攻めの手が遅れています。
その工夫を見て、同じような陣形から、崩してきたのは渡辺名人の方でした。
早繰り銀で行くと見せかけて、棒銀でのプランに変えてきました。
この辺りの臨機応変さは流石名人といった所でしょうか。

この局面は手の広い所で、☗同歩だと後手の攻めが早くなってしまうので選べないが、☗6七銀と引いて次にその銀で歩を取る手も多く見かけるし、それもありだったのかも。
KENTOで分析してみると、☗6五歩☖7五歩☗同銀☖7二飛☗6七銀と柔らかく指す手もありそうでした。
本譜は☗4五歩を生かして☗4六角打。これも広く効いているので良さそうな手ですが、渡辺名人の冷静な対応が勉強になりますね🥰
角を合わせてからの金で受ける手厚さ。
そして☗6五歩の突き出しには銀を引いての対応。なるほどね〜🤔
さらに驚きなのは☗6四歩に対して☖6四金と金で取った事👀✨
自分なら普通に銀で取ってしまいそうですが、その場合は、☗6四歩とまた合わせられ、☖7三銀と引くと、☗7五歩とされる形を嫌ったという事でしょう。
これを金で取っておけば、☗6四歩に対して☖5四金と玉側に逃げる事が出来てバランスも良いのでそちらの進行になったと思われます。
それに対応するように飛車を回りましたが、銀が効いている所に☖6五歩と打ちました。

その手は金と歩、銀の交換になりますがこの☖8三角打に期待したのでしょう。
この角打ちが思ったよりも厳しい…😂
☗6一飛成を防いでいると共に飛車と桂馬の両取りもかかっていますし、さらに4六の角も浮いているので、そこを攻める事もできる状況。
なので、☗6八飛☖4七角成☗6一飛成☖2二玉と少し面白い順番に進んだが、
ここで狙われていた角を斉藤八段が思い切って捌きにいった手にビックリしました🙄!!!
強襲の☗1三角成

いやあ〜いきなりの強襲です。確かに龍も出来ていて1段目に効いているし、端攻めはかなり有効に見えますが、でもいきなりでしたね😑
これは香で取る一手に歩で攻めて香で追い詰めますが、☖4二銀が冷静か🤔
本譜はこの後の☖8三角打が厳しく後手が残している展開になりましたので、先に☗1二金と決めてから☗1二龍とした方が良かったのかも知れない。
でも、先手の玉の周りには金しかないので厳しい上に、角を手持ちにしているので逆転は難しいそうですねえ💦
個人的に気になる一手

☗2六桂打に対して☖5一銀とした局面ですが、この銀引きが凄いなあ〜と思ってしまった。
銀がそのままいれば☗3六龍とすれば詰めろがかかるので逆転の目が出そうな所ではあったけど、丁寧にその目を潰し、玉の逃げ場所をしっかりと作るバランス感覚は見習いたいものです😊
この後の展開で逆転することはなく、斉藤八段の投了となりました。
まとめ
角換わりの将棋で1筋の突き越す形が流行りそうな流れですが、糸谷八段と斉藤八段で、渡辺名人が二連勝という結果になってますね。
この将棋に関しては後手の早繰り銀を見せる対策の有効性がしっかりと出ているかと思います。
次に同じような展開にした場合、どこに改善の余地があるのか。
先手に勝てる展開はあるのか!?
その辺りはとても気になる所ですが、また次にどなたかプロの対局で参考に出来そうな棋譜が出ればまとめたいと思います。
個人的には4月からの名人戦で、斉藤八段が工夫を凝らしてリベンジして欲しいなと勝手に希望しています🥰
それではまた次回🙌🏻
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